2012年1月26日木曜日

漢字に興味津々なおじ様に左フックをかます。

みなさん、こんばんは。
僭越ながら、木曜の男が登場させていただきます。

私の出勤時間はメトロに揺られること、約30分。
その時間を何に使うかと言えば、もっぱら読書。
しかし、〆切り前になるとその日の仕事の段取りとか、現実逃避の妄想とかで時間を潰します。

ポケットには、いつも紙とペン。
思い出した事や、良いアイデアやがでると、すぐにメモれます。

今朝のこと。
ふと、思い出したことがあったので、メモをとります。
あまりにも突然な動きだったので、隣に座ったおじ様がびっくりしたようです。
私は横目でそれを感じましたが、まぁ迷惑かけたわけでもないので、無視。

そして、私がメモした内容は漢字をつかったもの。
売上表更新

記入後、考え事をしていたので電車の窓から、外を眺めます。
しかし、地下なので窓は車内を映す鏡となります。

そこに映っていたのは、おじ様が不思議そうな表情で紙を覗いている様子が。









ちょっと、面白くなりまして、
さらに漢字を書いてみる。

覗き見禁止













電車を降りるまで、書いては観察し、書いては観察し・・・
そのおじ様は非常に豊かな表情でその紙と私を交互に覗いては、
不思議そうな顔・・・

なにか話しかけたそうな顔をしていましたが、
私は、その表情を観察したいので、あえて険しい顔をしており、
おじ様は話しかけられない様子。

私の降りる駅に着きました。
どうやら、私がおじ様より先に降りるようです。
楽しかったよ、ありがとう。
そう思いながら、


「Com licença.」 コン リセンサ  (失礼します。)

と言って、前を横切りました。


突然、

電車が停止したハズが、動き出し、すぐに急停車。
私は足を踏ん張るも、よろけてしまい、近くの棒を摑もうとしたのですが、
その際に、力が程よく抜けた私の左拳が、そのおじ様の鼻先を捉え、
見事にクリティカルヒット。




それは、私の人生で5本の指に入るほどの「会心の一撃」。



あまりの出来事に、私は茫然。
おじ様も茫然。

おじ様は即座に鼻を押さえて、涙目。

状況を理解した私は、大きな声で
「あーーっ!!ごめんなさいっっっ。」
思わず、日本語で叫ぶ。

おじ様は鼻を押さえて、私を見つめている。
涙目で。。。


やばい、これは国を上げての戦争に発展する・・・。
日本人が世界で嫌われる。

「Desculpe!!!」 デスクーピ (ごめんなさい。)

大きな声で言い直す。

おじ様は鼻を押さえたまま、うなずく。

涙目で。。。


「Desculpe. Tudo bem??」
デスクーピ トゥードベン? (ごめんなさい。大丈夫?)

おじ様は鼻を押さえたまま、うなずき、親指を立てる。


涙目で。。。


ドアが閉まりそうだし、なんか許してもらえたので、電車を急いで降りる。

本当に、申し訳ないことをした。
あんなに可愛いらしいおじ様に、見事な左フックをかましてしまった。

ごめん。おじさん。
これからは、電車が停車してからではなく、
ドアが開いてから席を立つことにするよ。


では、一句。

   漢字見て

     フックを感じる

        おじ様よ


さて、Pindorama1月号のWEB版はこちらから。   

2012年1月19日木曜日

木曜の男、襲われる。

みなさん、こんばんは。
今現在、サンパウロはヒドイ雨でございます。

そう、私が木曜の男、キタでございます。

出社する前に、家の近くのバールで一杯のコーヒーを飲む。
これが日課でございます。
こちらでは、お店の中では煙草は吸えない法律ですので、
コップを持ちながら店先で煙草を吸うのです。
今日は、どんな一日かなー。なんて思いを巡らせながら佇むのです。

右前方から、老婆が近づいてきました。
私の顔をみるなり、真っ先に近づいて、何やら語りかけてきます。
しかし、歯がない。入れ歯もしてないから、何を言ってるのかさっぱり分からない。

私が持っているコーヒーを指さしながら飲みたいと言う。
ちなみに、ホームレス風ではなく、ヨレヨレではあるけれども洗濯はちゃんとしているような、
清潔そうではある、おばぁちゃん。

「まぁ、病気の心配はないか。」と思い、コップを差し出す。
「まだ、入れたばかりだから、熱いよ。気をつけてね。」なんて思いながら見守る。
一口飲んでは口を離し、私の顔を確認し、
一口飲んでは口を離し、また私の顔を確認し・・・。



おいおい、何口飲むんだよ!!


まぁ、今日はちょっと寒いしね。仕方ないね。
そんなに、おれの表情が気になるなら、
おれはあっち向いて、煙草でも吸うよ。おばぁちゃん。

ただ、間接キスはイヤだから、コップのどこに口をつけたかだけは横目で確認させてね。

結局、半分以上一人で飲みやがりあそばされた。


まぁ、いいや。
うまかったかい?おばぁちゃん。
返されたコップを気づかれないように回して、残りのコーヒーを飲む。


これで終わると思うでしょ?




違った。




おばぁちゃん、私にものすごくお礼を行ってきた。
De nada. ジ・ナーダ (どういたしまして。)
と答えるも、まだ何か言っている。


「ウチに来い。」


どうやら、そんな事を言っている。
おもてなしする。おまえはイイ奴だ。イイ男だ。ウチに来い。
って言っている。

Não obrigado. ナォン オブリガード (いいよ。ありがとう。)

って答えるも、しつこく誘ってくる。

Não obrigado.と私は連呼する。

今から仕事なんだよ。おばぁちゃん。
どうやら、あきらめたらしい。

よかった。


ホッとした。


これで開放されると思った。

しかし、おばぁちゃんは両手を広げてハグをしようと訴えかけてくる。
まぁ、こっちの挨拶だ。私の左頬とあなたの左頬をくっつけて、
耳元でキスの音を鳴らす。
これは、こっちの異性同士の挨拶だ。出会いと別れには必要なのだ。

そう思って顔を近づけたら、

おれの頬にぶっちゅーって・・・。

うん。でもまだ、大丈夫。
これは挨拶の範疇。
とっても親しい間柄の範疇。
おばぁちゃんは、おれを息子のように思ってくれたんだね。
ありがとう。


顔を離したら、
まだ、腕を放さない。

あぁ、今度は逆の頬なんだね。
わかったよ。あなたは、きっとリオデジャネイロかどこかの出身なんだね。
両方しないと気がすまないんだね。


しかし、おばぁちゃんは、
顔を正面に向けたまま、迫ってくる。
あごを上げて迫ってくる。
眼も少し、閉じ気味だ・・・。
私の首の後ろに手を回して、どこからそんな力が出るんだ?って言う位の力で、
私を引き寄せる。

接吻ですか?


口と口で接吻と言うやつですか?



こんな展開は予想だにしていなかった。



もう、全力で拒否。


でもですね、力強いんですよ。予想以上に。
おばぁちゃんの骨が折れそうだから、こっちも抵抗の力加減が分からんのですよ。

おばぁちゃん。お願いだから口閉じて。口を開けたまま迫って来ないで。
舌をチロチロしないで。いや、入れ歯ないのは分かるけども。

いーーーやーーーーっ!!!






























やーめーてーっ!!


なんとか、その場を逃げようと、
店員にコップを返そうと店内を振り返った所、
出勤前のブラジル男性人達と店員全員が私をニヤニヤしながら、見ている。

後ろからは、おばぁちゃんが娘の名前を何人もだして婿に来いとか言っている。
おいおい、じゃぁ、キスしようとするんじゃねぇーよ。


んで、おい店員め、おれは毎日来てるだろ。
常連なんだから、助けろよ!
一緒に笑ってんじゃねぇ!
「捕まったわね。ふふ。」じゃねぇっ!


コップを返し、走るように店を出る。

実に、素晴らしい一日の始まりとなりました。

そして、一句を詠ませていただきます。

  おい、嫁よ。

    貞操、必死に、

       守ったぞ。

おれ、偉い!!
じゃ、また木曜日に会いましょう。



PindoramaのWEB版は下記から。

2012年1月12日木曜日

おっちゃん、ありがとう。

皆様、こんばんは。
ブリブリ登場いたしますのは、ご存知の木曜の男でございます。

最近、「ほほー。」と感動したことがあります。

よくランチに行くバールでのことですが、
私はお腹がすく割に、すぐに食べ疲れてしまい、あまり量を食べられないんですね。
でも、ご飯を残すのは嫌いなのです。極力、残さずに食べたいのです。

ですが、ブラジルは食べきれない量や、もしくはたくさんの量を盛って提供するのです。
来た当初は頑張って食べきっていましたが、周りをみると、食べ残すお客さんの多いこと。
しかし、それがどうやらブラジルの文化だそうで、
「もう、お腹いっぱいで食べきれないほど満足しました。」って感じで、食べ残しても悪ではないのです。
お店側も、食べきれないほど提供するのが正義みたいな感覚です。

それを知ってから、罪悪感はあるものの、満足した時点で食べ残すようにしました。

ところがある日、いつものメニューを頼んだらご飯の量が通常よりも少ないんですね。
コックさんが適当な人なのかと思ったんですが、周りと比べても少ない。
最初はたまたまかとも思いましたが、来る日も来る日も周りと比べると量が少ない。
とは言っても、それでも量が多いので食べ残す私。
すると、どんどんご飯の量が減っていく。
やっと、食べきれる量を提供される。

そこには、調理する人がローテーションで2人位いるのですが、
少し年配の温厚な人が担当の時には必ず量が少なめで提供されるのです。

これは、確実に意図して量を減らしている。

いつも、距離があるので話すこともないけれど、
その気遣いにとっても感動しました。

食べ残さず、食事を終えた時に目があいました。
親指立てて、ありがとうを表すと、向こうも笑顔でうなずいてくれました。

いつも、注文の時や、会計の時にしか言葉を発しない無愛想な私ですが、
ちゃんと見ていてくれてるんだなぁと。
お皿を下げる時に、残ったご飯の量を把握してくれているんだなぁと。
食べ残すのが嫌いな性格まで把握してるとは思わないけれども、
ひょっとしたら、お店側のロスを考えて、私のためではないのかもしれないけれども、
最後の無言の笑顔を見ると、そんな感じではないんですよね。

「おっちゃん、ありがとう。また来るよ。」

では一句。

  物言わず

   減らしてくれて、

     ありがとう。

んじゃ、また木曜日に会いましょう。
あ、PindoramaのWEB版は下記から。

2012年1月9日月曜日

ピンドラーマ2011年12月号

issuu.comのファイルをブログ上で公開できることがわかったので、テストで載せてみます。

川原崎

2012年1月5日木曜日

みなさま、あけましておめでとうございます。

2012年初で木曜の男がお送り致します。

本年も、何卒よろしくお願い致します。


ちなみに、サンパウロの正月はそこら中で花火がなっており、
日本の厳かな雰囲気とは、全く異なるものでございます。

そして、その花火といっても、日本の花火大会のような豪華なものではありません。
すごいものでも、野球でホームランが出た時に使われるような、少し華やかな花火から、
普通の花火では、運動会前に、今日は運動会ありますよー。って告知する位の花火です。
それらが、あちこちで、しかも日中でもパンパン鳴っており、あぁ、ブラジルなんだなぁ。と実感します。

そうは言っても、いつも大変お世話になっている方のお宅へお呼ばれし、
年越しそばも食べましたし、おせち料理もご馳走になりました。
ブラジルに来て、たくさんの方にお世話になっており、
単身+ノープランでブラジルに来た私としては、今の生活は全く想像しておりませんでした。

まだまだ、誰かをお世話する立場でもありませんし、その実力もないので、
しばらくはお世話になりっぱなしですが、感謝の気持ちを忘れず、
少しでも精進しようと思う、2012年の木曜の男です。

さて、今年も残すところ、
わずか360日でございますが、
皆様、はりきって参りましょう!

では、一句初め。

  あけまして

     あぁ、あけまして

         おめでとう。

昨年はいろいろ災難でしたが、
今年は跳ぶために、屈む年になるんでしょうか?

では、来週の木曜日にお会いしましょう。